こんにちは。作業療法士Sです。
今回は、脳をよくするための4つの効果的なシステムについて書いていきます。
ワーキングメモリシステムを鍛える
ワーキングメモリとは、一時記憶のことです。
通常の記憶とは異なり、一時的に覚えておいてやり終わったら忘れても良い、行動が済んだらいらなくなる記憶のこと
ワーキングメモリシステムは、すべての前頭前野(前頭連合野)の働きの基礎となります。
ワーキングメモリは46野に保存され、記憶したことを覚えておくのは8野で保存されます。
(46野って…なんのこと? という方はこちらの記事をご覧ください)
使って鍛えるほど、脳は刺激され発達します。
赤ちゃんのワーキングメモリを鍛えるには?
平均、3ヶ月の赤ちゃんでは3~4秒、10か月の赤ちゃんでは10秒間覚えることができるそうです。
具体的な遊びを挙げるとすると、「いないいないばあ」「布・物などでおもちゃを隠して探してもらう遊び」などがおすすめです。
早い時期から鍛えていくと、ワーキングメモリを長く働かせることができるようになります。
(10ヶ月で20秒程まで伸ばすことが可能です!)
ミラーニューロンシステムを鍛える
ミラーニューロンシステムとは、動作や行動を“見て・理解して・真似をする”システムです。
手や顔、足などのあらゆる運動を見ているだけで動作がやりやすくなりますシステム
赤ちゃんのミラーニューロンシステムを鍛えるには?
赤ちゃんが初めて動作をするときには、まず、保護者の方から動作をやって赤ちゃんに見せてあげることが重要です。
- 保護者の方たちがやってみせる
- 赤ちゃんと一緒にやってみる
- 赤ちゃんにやってもらう
の3段階を踏んで、繰り返しやりましょう。
何回もやっていくと、それが何をやろうとしているのか赤ちゃんはだんだん理解していきます。
運動だけでなく、感覚や感情を表現・理解するのにもミラーニューロンシステムが働きます。
赤ちゃんとの「にらめっこ遊び」がおすすめです。
怒った顔や笑った顔、表情豊かなたくさんの顔を見せて、赤ちゃんにも覚えてもらうと良いです。
ドーパミンシステムを鍛える
赤ちゃんから大人まで、心地の良い刺激を受けた時に、腹側被蓋野が働き、ドーパミンが分泌されます。
このドーパミンの影響で、前頭連合野(思考)や海馬(記憶)、運動連合野(筋肉運動を起こす)働きが良くなります。
(ドーパミンとは…?という方は、こちらの記事もご覧ください)
ドーパミンを分泌する腹側被蓋野は従来、“やる気を起こす領域”とされていましたが、最近の研究で”快感がわかる領域”ということもわかってきました。
「快感がわかる」+「やる気を起こす」は、何かをやってもらうときに相乗効果で効力を発揮します。
赤ちゃんのドーパミンシステムを鍛えるには?
赤ちゃんとの触れ合いの中で、ドーパミンシステムをよく鍛えるには
- やってできたら褒める
- さする、抱き締めるなどのスキンシップを頻繁にする
- 美味しいものを食べる
この3つを意識的にやっていきましょう。
(③おいしいものを食べることは、脳にとても良いことですが、食べ過ぎには注意してくださいね。)
No – Go を覚えさせる
“積極的にしないこと”を教えることを、No-Go(ノーゴー)といい、8野の中枢細胞(抑制細胞)が働きます。
早い時期から、“しなかったら褒める”ことも教えましょう。
例えば、赤ちゃんがいたずらをしかけたら、停止させて、やらなかったら褒めます。(説明して、理解させてやめさせることが大切です)
歩けるようになったとき、“信号が赤なら止まる、青なら進む”といった社会のルールに従うことを教えることにもつながります。
何かを積極的にしない=我慢とは違います
我慢しなくても、“危ないからだめ”など、教えられたことがすんなり守れるということが No-Go です。
育児のあらゆる場面で現れると思われます、実践しつつ脳を鍛えていきましょう。
まとめ
今回は、脳をよくするための4つの効果的なシステムについて書いていきました。
”育児は大変でそれどころではない!”となってしまうかもしれませんが、頭の片隅に入れておくと、ちょっと役に立つこともあるかもしれません。