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排尿について考える ④

こんにちは。作業療法士Sです。

前回の記事では、下部尿路の構造や排尿のメカニズムを中心に書いていきました。

今回の記事では、尿失禁をテーマに書いていこうと思います。

目次

尿失禁

尿失禁

尿が不随意に漏れるという愁訴

乳児・幼児においてはこの定義は用いません。
また、汗や膣分泌液との鑑別が必要です。

よく見られる尿失禁のタイプ
  1. 切迫性尿失禁
  2. 腹圧性尿失禁
  3. 混合性尿失禁
  4. 機能性尿失禁
  5. 溢流性尿失禁

切迫性尿失禁

切迫性尿失禁

尿意切迫感と同時または尿意切迫感の直後に不随意に尿が漏れるという愁訴

突然起こる強い尿意でこらえることが困難です、通常の尿意とは異なります。

腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁

労作時または運動時、もしくはくしゃみや咳の際に不随意に尿が漏れるという愁訴

出産や更年期、肥満、便秘などの影響があることも…。

混合性尿失禁

混合性尿失禁

混合性=切迫性+腹圧性 

尿意切迫感だけでなく、運動・労作時やくしゃみ、咳にも関連して尿が漏れる場合があります。

機能性尿失禁

機能性尿失禁

下部尿路機能障害によるものを除いた原因で起こる尿失禁

運動機能障害や高次脳機能障害、認知症が原因で起こる尿失禁です。

溢流性尿失禁

溢流性尿失禁

膀胱内に多量に蓄尿され、排出障害が原因の多量の残尿が問題で少しづつ尿が漏れている状態

腎不全や命に関わる病態のため、特に注意が必要です。

骨盤底筋群の弱化

骨盤底筋群

肛門挙筋、外尿道括約筋、外肛門括約筋 等

尿が溜まってきている最中に、お腹に力がかかると骨盤底筋群が緩んでいるため膀胱が下がり、尿道を十分に締められないことがあります。

骨盤底筋群について詳しい図を見たい方はこちらの参考書をご参照ください。

過活動膀胱(OAB:overactive bladder)

過活動膀胱
  • 尿意切迫感を有し、頻尿・夜間頻尿を有する症候群
  • 失禁は伴っても伴わなくても良い
  • 排尿を迫る強い尿意が急に生じることが特徴

過活動膀胱の条件は…
・排尿回数が1日8回以上
・尿意切迫感が週に1回以上

過活動膀胱と転倒・転倒骨折

過活動膀胱と転倒・骨折
  • 過活動膀胱を有する者は、有さない者より転倒による受傷は2.2倍に、転倒による骨折は1.5倍に受傷率が上がる (Am J Manag Care,2002)
  • 切迫性尿失禁を有する者は、有さない者と比較して、転倒が1.26倍骨折が1.46倍になる (J Am Geriatr Soc 48, 2000)

下部尿路症状を有すると、転倒リスクが高くなると言えます。

転倒予防

転倒予防

過活動膀胱⇨転倒と関連があり、転倒リスクが高い

尿意切迫感、切迫性尿失禁の有無を把握し、症状改善に向けてアプローチを検討・実行していきましょう!

まとめ

今回は尿失禁をテーマに書いていきました。

尿失禁と一言で言っても、さまざまな種類があります。

前回の記事のまとめにも書かせていただきましたが、夜間頻尿と同様、過活動膀胱も転倒・転倒骨折と関連があると言われています。

尿意切迫感、切迫性尿失禁の有無を把握し、症状改善に向けてアプローチを検討・実行していく必要があります。

次回は実際に行なっているアプローチ方法について書いていこうと思います。

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