こんにちは。作業療法士Sです。
前回の記事では、脊髄損傷者のリハビリテーション 機能障害と合併症を中心に書いていきました。
今回は、損傷部位別 ADLのポイントについて書いていこうと思います。
C4レベル
・僧帽筋
・横隔膜
・全介助レベル
・移動:電動車いす
・環境制御装置、コンピューター
・電動車いす
C4レベル以下になると、横隔膜がはたらくので、自発呼吸が可能になります。
電動車いすはチン・コントロールにて操作することが可能です。
C5レベル
・肩関節周囲筋
・肘関節屈筋
・食事、書字動作などが可能
・移動:車いす、電動車いす
・自助具(ポータブルスプリングバランサー:PSB など)
・電動車いす
C5レベル以下になると、食事や書字動作の獲得が見込まれます。
手関節背屈筋群がはたらくかどうかも評価していきましょう。
C6レベル
・大胸筋
・手関節伸展(背屈)筋
・ほぼ自立
・自助具(ユニバーサルニューカフ、車いすグローブ など)
・車いす
・(自動車)
C6レベル以下になると、ADLがほぼ自立可能、自己導尿の獲得が見込まれます。
(C6レベルは患者様のADLが作業療法士の技量によって大きく変わると言われています…!)
C7レベル
・肘関節伸展筋
・手指伸筋
・自立
・自助具(トランスファーボード など)
・車いす
・自動車(手動運転装置)
C7レベル以下になると、自動車運転の獲得が見込まれます。
余暇・就労に大きく影響する項目なので、患者様やそのご家族のHope・Needsともに高い印象です。
Th7レベル
・腹筋(上部)
・自立
・車いす
・自動車(手動運転装置)
Th7レベル以下になると、腹筋(上部)がはたらくようになり、諸動作の安定性がグッと増す印象です。
社会参加(就労)について
・C6以下は、就労可能
・教育(学歴)が重要
・一定の職種制限はあるものの就労可能
・受傷前の経歴が重要
就労には、自動車の免許やコンピューター操作能力が役に立つ場合が多いため、環境調整を含め評価していくことが大切です。
まとめ
今回は、脊髄損傷者のリハビリテーションに関して、損傷部位別 ADLのポイントについて書いていきました。
先日のブログ総論編でも書かせていただきましたが脊髄損傷者の高齢化や、完全麻痺よりも不全麻痺が増えていること、関節拘縮や痙性などによって、思うようにADL自立度が上がらないこともあります。
損傷部位レベルでどのようなADL動作が獲得可能か目安を立てた上で、患者様やそのご家族のHope・Needsを聞きつつ、目標設定をしていくことが大切です。
(ですが、開放性・閉鎖性運動連鎖やテノデーシスアクションなどで、動作を“上手に”行われる患者様もいらっしゃるので、損傷部位レベルでのみ考えるのは早計かもしれません…!)