こんにちは。作業療法士Sです。
数回にわたって、脊髄損傷者のリハビリテーションについて書いていこうと思います。
今回は総論、脊髄損傷の診断・評価方法などについて書いていきます。
目次
脊椎・脊髄の解剖
脊椎
脊椎は椎骨が連なって形成されます。
頭側から7個の頚椎、12個の胸椎、5個の腰椎、5個の仙椎、3〜6個の尾椎があります。
脊髄
脊髄は、脳から繋がる中枢神経で、延髄の尾側から始まり、第1〜第2腰椎高位で脊髄円錐となって終わります。
分岐する神経根に対応する脊髄の部位を髄節と呼ばれ、頚髄が8髄節、胸髄が12髄節、腰髄が5髄節、仙髄が5髄節、尾髄が1髄節の合計31髄節あります。
作業療法士S
成人では、頚椎と頚髄の位置関係が1.5椎ほどのズレがあります。
(C3/4椎間板高位がC5髄節、C4/5がC6髄節)
残存機能レベル
残存機能レベル
- C5:肘関節 屈曲
- C6:手関節 屈曲
- C7:肘関節 伸展
- C8:指 屈曲
- Th1:指 外転
- L2:股関節 屈曲
- L3:膝関節 伸展
- L4:足関節 背屈
- L5:母趾 伸展
- S1:足関節 底屈
作業療法士S
今回は大まかな残存機能レベルを紹介しました。
より詳しく上肢残存機能を評価する場合は、Zancolliの分類をご参照ください。
脊髄損傷の診断
損傷高位
損傷高位
最下位の機能髄節で表す
作業療法士S
損傷高位は、どこまでの機能が残存しているかを表しており、
骨傷部位と異なることがあるので注意です。
CHECK
・Zancolliの分類
・矢部の分類
損傷の程度
損傷の程度
・完全麻痺
・不完全麻痺
CHECK
A | 運動・知覚喪失 |
B | 運動喪失・知覚残存 |
C | 運動残存(非実用的) |
D | 運動残存(実用的) |
E | 回復 |
完全麻痺・不完全麻痺
完全麻痺
・肛門粘膜移行部の感覚と運動の消失、残存機能行為によってほぼ決定する
・初期に完全麻痺であった場合、ほとんど回復しない(機能改善が期待できない)
・頸髄損傷ではわずかな高位の違いが重要
不完全麻痺
・肛門粘膜移行部の感覚と運動が残存
・長期間にわたって改善することがある
脊髄損傷の原因
原因
- 外傷(交通、スポーツ、労働災害、転倒転落)
- 血行障害(梗塞、動静脈奇形、大動脈瘤、人工血管置換後)
- 炎症
- 腫瘍
- 放射線
外傷性脊髄損傷
外傷性脊髄損傷
- 発生数:100万人あたり年間20〜40人(日本)
- 年齢:若年層が減少傾向、中高年者に多い
- 性:男性>女性
- 麻痺の種類:四肢麻痺(頚髄)>対麻痺(胸髄・腰髄)
- 麻痺の程度:不全麻痺>完全麻痺
高齢者の脊髄損傷の特徴
高齢者の脊髄損傷の特徴
- 頸髄損傷者が多い
- 頚椎の変形を伴う
- 起立・歩行時の転倒
- 骨傷のない損傷
- 不全四肢麻痺
- 合併症が多い
まとめ
今回は、脊髄損傷の診断・評価方法などについて書いていきました。
リハビリでは損傷部位や程度、残存機能を適切に評価し、目標設定していくことが大切です。
次回は、脊髄損傷者の機能障害や合併症、自己管理方法について書いていこうと思います。