こんにちは。作業療法士Sです。
今回は、高次脳機能障がい者への作業療法アプローチを書いていこうと思います。
高次脳機能障害とは?
高次脳機能障害は、脳血管障害や脳外傷、脳炎、脳症などの疾患の症状として現れることがあります。
以下の項目が例になります。
・失語
・失行
・失認
・半側空間無視
・易疲労性
・脱抑制
・注意障害
・判断力の低下
・記憶障害
・遂行機能障害
・病識の欠如
・etc…
一般的に、脳梗塞・脳出血でみられる症状は局所巣症状で、脳外傷でみられる症状は広範的な前頭葉症状と言われています。
高次脳機能障害の難しさ
運動麻痺のある患者様は主観的・客観的に理解しやすい(見えやすい)症状を呈しているため、病識の理解(障害受容)、高次脳機能障害も受け入れやすい傾向にあると思われます。
一方で、脳外傷の患者様は著しい運動麻痺を呈さず、特に病院内で日常生活動作が自立している患者様は、入院の理由の理解ができない状態となりやすく、通常の入院生活ではみえにくい高次脳機能障害を理解することが難しい場合があります。
入院生活を余儀なくされ、外泊もできず、本来の日常生活から遠ざかり病院生活が日常生活と化すと依存的な状態に陥る患者様も少なくありません。
記憶障害・遂行機能障害のある患者様は、自由に動くことが許可されないため不満が積もることもあります。
作業療法士としての役割
経過は年単位で考えていくことが大切です。
リハビリテーション医学は「プラスの医学」
「マイナスを減らす」ことばかりを考えず、むしろ「プラスを見つけ、活用し、増やす」ことが大事。
プラスの面は、その気になれば、一緒に暮らしている家族の方が、医療職よりもよく発見できる。
「下から積み上げる」だけでなく、「上から、その人らしい、生きがいのある生活」を作ることも大事。それが自信を強め、余裕を生み、症状の改善につながる。
上田敏:高次脳機能障害者のリハビリテーションと当事者・家族の役割
「下から」のアプローチ
認知機能の階層性を示した図です、下から積み上げていくことが大切です。
「上から」のアプローチ
コロナ禍で外泊が中止になっている病院も多いかもしれませんが…
まとめ
今回は、高次脳機能障がい者への作業療法アプローチを書いていきました。
高次脳機能障害を呈すると、マイナス面が目につきやすいかもしれませんが、上田敏さんの言葉を引用させていただくと「マイナスを減らす」ことばかりを考えず、むしろ「プラスを見つけ、活用し、増やす」ことが大事です。
入院の理由の理解ができない状態、病院生活が日常生活と化すと依存的な状態を防ぐためにも、本来の日常生活が垣間見れる活動を提供していく必要があります。
医療職同士のチームアプローチ、多職種連携も大切ですが、ご家族も交えて関わっていくことで、様々な発見があるかもしれません。