こんにちは。作業療法士Sです。
前回の記事、車いすの介助方法 ① で車いすの介助方法について書いていきました。
今回はリスク管理の一環として、過去の事故例や、車いすの転倒しやすい場面について書いていきます。
目次
過去の事故例
移乗時のブレーキ操作を忘れずに
患者様がベッドから車いすに移乗する際、看護師が廊下に置いていた車いすをベッド横に移動したところ、片方しかブレーキをかけていませんでした。
患者様がそれに気づかず、自力で移乗しようとしたら車いすが動き、転落してしまいました。
車いすのブレーキ、過信は禁物
ベッドからストレッチャー型車いすに、トランスファーボードとスライディングシートを使って2人介助で移乗しようとしたところ、車いすが動いて隙間ができ、患者様が滑り落ちてしまいました。
転倒防止バー等、外したら元に戻そう
転倒防止バーを外して段差を越える訓練をした後、訓練士が転倒防止バーを戻すことを忘れてしまいました。
患者様が帰棟し車いすからベッドへ移乗しようとした際に車いすが後方に転倒し、頭部を強打してしまいました。
車いすの転倒について
車いす生活をしている中で、転倒のリスクは常にあります。
重大な怪我(骨折や頭部の怪我)を防ぐためにも、リスクのある場面は理解しておく必要があります。
前方転落の原因
原因
- 下り坂で途中の段差にキャスターがぶつかり、投げ出された。(前方障害物)
- ハンドリムをつかみ損ない転落した。(駆動・操作の失敗)
- 床に落ちたものを拾おうとして、前に落ちた。(停止中)
- 友人に車いすを押してもらっていて、段差にキャスター(前輪)がぶつかって転落した。(介助)
後方転倒の原因
原因
- スロープをキャスター(前輪)上げで降ろうとして失敗した。(キャスター上げ失敗)
- スロープで膝上に荷物を置いていて、前傾できず後方に転倒した。(段差・坂昇降の失敗)
- 腕を上に伸ばしたら転倒した。(停止中)
- 段差を介助しようとして、前のフレームを持ち上げた瞬間に後方に転倒した。(介助)
もし車いすから落ちた人がいたら…
注意をしていても、上記のようなことから車いすから落ちてしまうことはあります。
そんな時、もし車いすから落ちた人がいたら、
POINT
- 1人ではなく、複数人で介助しましょう。(人を呼びましょう!)
- 意識がはっきりしているか確認しましょう。(バイタルチェック)
- 大きな怪我がないか確認しましょう。
まとめ
今回はリスク管理の一環として過去の事故例や車いす転倒場面の例を書きました。
“車いすは倒れるものである”ため、転倒・転落による重大な怪我を防ぐために気を付けることはなにかのヒントになれば幸いです。
次回は、車いすの乗り移り、移乗介助方法について書いていこうと思います。
患者様だけでなく、介助者も心地よくなるよう、努めていきましょう…!