こんにちは。作業療法士Sです。
新人OTさんも入職してから半年以上が経ち、少しずつ担当患者様が増えています。
先日、
Aさんの車いすの乗り移りが大変で…。どうしたら良いですか?
と相談を受けました。
新人OTさんだけでなく、患者様宅を訪問した際には患者様ご家族からも同じ様な質問を受けることが多々あります。
今回は、車いすの介助方法について書いていきます。
車いすとは
車いすは、身体の機能障害などによって、歩行困難となった人の移動に使われる福祉用具です。
臨床現場では“離床を促すために早く車いすに乗せて!”みたいによく言われますが、車いすは、単に移動手段となるだけでなく、生活を少しでも楽しく豊かにするためのものです。
また、車“いす”なので座りごこちや乗りごこちを確認することも大切です。
同じ車いすでも乗る人によって、感じ方がそれぞれ違います。
身体機能や生活方法、介助の状況によって適切な車いすを選んでいきましょう。
車いす 各部の名称
車いすを介助指導するときに、“ティッピングレバーを踏んで下さいね”と言っても“?”な顔をされることもしばしば。
車いす各部の名称のおさらいです。
画像は松山市社会福祉協議会 https://www.matsuyama-wel.jp/goods/kurumaisu.html から引用させていただきました。
車いすの介助について
以下、6つの介助方法について書いていきます。
- ブレーキをかける
- キャスターをあげる
- 坂道を上る
- 坂道を下る
- 段差を上る
- 段差を降りる
ブレーキをかける
⑴ 車いすの横に立ち、片手で“握り(グリップ)”を持ちつつ、他方の手でブレーキをかけます。
⑵ 反対側も同様にブレーキをかけます。(忘れないように注意!)
キャスターを上げる
⑴ 両手で“握り(グリップ)”を握ります。
⑵ 足で片側のティッピングレバーを下に踏みながら、キャスター(前輪)が地面から浮くまで押し下げます。
坂道を上る
⑴ 両手で“握り(グリップ)”を握り、肘を伸ばして押しながら上ります。(肘を曲げて押すと、介助者に負担がかかるので注意!)
坂道を下る
⑴ 車いすを後ろ向きにします。
⑵ 両手で“握り(グリップ)”を握り、肘を伸ばしながらゆっくりと後ろに下がりながら下ります。(肘を曲げて押すと、介助者に負担がかかるので注意!)
段差を上る
⑴ 両手で“握り(グリップ)”を握り、足で片側のティッピングレバーを下に踏みながら、キャスター(前輪)を上げます。
⑵ キャスター(前輪)を静かに段に乗せた後、駆動輪(後輪)を段に添わせます。
⑶ “握り(グリップ)”を持ち上げると同時に、介助者はバックレストに体を添わせつつ後ろ脚をけって前脚に重心を移しながら、駆動輪(後輪)を段の縁を添うように転がして上げていきます。
段差を降りる
⑴ 車いすを後ろ向きにします。
⑵ 駆動輪(後輪)を段の縁に添うように転がしながら下ろします。
⑶ 後ろに下がりながらゆっくりとキャスター(前輪)を下ろします。
まとめ
今回は6つの車いす介助方法について、書いていきました。
車いす各部の名称は、他部門との話し合いの時にもよく出る単語なので、覚えておくと良いです。
次回は、移乗動作方法の前に、車いす関連のリスク管理として、車いすの転倒しやすい場面の確認や過去の事故例などについて書いていきます。