こんにちは。作業療法士Sです。
今回は、発達の原理から運動機能の発達-姿勢・移動-を中心に書いていこうと思います。
発達の原則
発達の原則は3つあります。
- 一定の順序
- 連続的だが、速度は一定ではない
- 基本的方向がある(頭尾方向、近遠方向)
発達速度は個人差がありますが、一定の順序(ステップ)があるので、一つ一つ積み重ねていきましょう。
運動機能の発達
運動機能は3つの側面から見ていきます。
- 粗大運動
- 原始反射・反応
- 巧緻運動
補足)姿勢の発達
発達には2つの方向性があります。
- 伸展位への方向:屈曲位から伸展位へ
- 抗重力位への方向:姿勢の維持
1歳までの運動発達
1歳までの運動発達を4つの期に分けて見ていきます。
- 第1期(生後0〜3ヶ月)
- 第2期(生後3〜6ヶ月)
- 第3期(生後6〜9ヶ月)
- 第4期(生後9〜12ヶ月)
みる視点
- 姿勢・ポジション
- 抗重力姿勢
- それぞれの関節セグメント
- アライメント
姿勢・ポジションは、以下を指します。
・背臥位(supine)
・腹臥位(prone)
・側臥位(side lying)
・座位(sitting)
・立位(standing)
第1期(生後0〜3ヶ月)
第1期、新生児は背臥位で四肢を屈曲位に保っています。
腹臥位では股関節屈曲、手は肩につき、肘関節・前腕は挙上します。膝関節は屈曲、足関節は背屈します。
- 上肢・下肢の屈曲-伸展パターン
- 非対称の姿勢が多い
- 重力に逆らえない
- 頭部は一方向を向いていることが多い
- 頭部を伸展しようとする
- 上肢・下肢は屈曲傾向
- 屈曲優位な姿勢
- 座位困難(頭部ぐらぐら、不安定)
- 立位困難:自動歩行反射
第1期(3ヶ月頃)のポイントは、
頭部を垂直に保持することができるようになることです!
・頭部を正中線状に保つ
・首がすわる
・体幹の対称性を促す
第2期(生後3〜6ヶ月)
第2期、腹臥位において、正中線上で頭部を振れることはなく、45〜90度持ち上げることができ、また前腕による支持が起こり始めます。
- 身体を横に回旋
- 寝返り
- 足の抗重力活動(空間での保持)
- 両肘で支える
- 両手で支える
- 反った姿勢(手足離し)
- 支えると座れる
- 立たせようとすると、足をつっぱる
第2期のポイントは、
両肘・手で支えることができるようになり、移動(はいはい)の準備ができるようになることです!
第3期(生後6〜9ヶ月)
第3期、下部体幹-股関節のコントロールが十分できるようになり四つ這いが安定してきます。四つ這いから高這いへと身体を押し上げることが可能になります。
- 四つ這い
- 四肢を伸ばし、体幹を持ち上げる
- 高這い
- 両手に体重をかけ、一人で座ることができる(9ヶ月頃に安定)
- 支えると立つことができる
- つかまり立ち
第3期のポイントは、
四つ這いで移動、自分で位置を変えることできるようになること、座位⇄臥位などさまざまな中間姿勢を体験して膝位の保持の準備をしています。
補足)四つ這い
- 手を浮かせるために、重心が臀部方向へ
- 片手での支持性が必要
- 手を前方、側方へ出す(パラシュート反応)
- 上肢・下肢の交互運動
- 頭部と体幹の分離が必要(STNR抑制)
- バランス反応が一層求められる(座位からの姿勢変換の繰り返しで養成)
移動に伴い、転倒の危険性(頭をうつなど)の危険性が高まるので注意です。
第4期(生後9〜12ヶ月)
第4期、座位が主な姿勢となります。横座りから大腿上で体幹と骨盤を回旋させることによって、四つ這い位へと姿勢を変換することができる様になります。
- 四つ這い
- 主な姿勢となる(安定、機能的な座位)
- つかまり立ちが安定する
- つかまり立ちから座ることができる
- 片手・両手でつかまって歩く
- 独歩
補足)伝い歩き
伝い歩きは、歩くための準備です。床・台などで、上下の遊びの空間を作る様にしましょう。
- 体幹:伸展・回旋
- 股関節:外転・伸展
- 立位での左右への体重移動(重心移動)
- 足関節背屈、足指でのバランス反応
- 膝のホッピング反応
補足)初期歩行の特徴
- ハイガード:バランスをとる、リトラクションし体幹伸展を助ける
- 骨盤回旋の欠如
- ワイドベース(支持基底面が大きい)
- 足底全体での接地
まとめ
今回は、発達の原理から運動機能の発達-姿勢・移動-を中心に書いていきました。
生後0ヶ月から1歳まで、4つの期に分けてポイントを挙げていきました。
発達速度は個人差がありますが、一定の順序(ステップ)があるので、一つ一つ積み重ねていきましょう。
次回は、原始反射・反応について書いていこうと思います。