こんにちは。作業療法士Sです。
皆様が“リハビリ”という言葉を聞くと、どのようなことを思い浮かべるでしょうか?
Googleで“リハビリ イメージ”で検索すると、平行棒を使って歩く画像や可動域訓練のような画像がたくさん出てきます。(…ちょっと気になる画像もありますね💦)
私たちセラピストが提供するリハビリテーションは身体機能訓練だけなのでしょうか?
身体機能訓練のイメージに+αができたら嬉しいと思い、今回は記事を書いていきます。
回復期の病棟訓練
このような話を聞いたことはありませんか?
リハビリをしてFIMの点数を上げないと!自立度を高めないと!
ADL課題をベッドなど現実場面で反復練習する
⇨生活課題を具体的に練習することができる
しかし、
短期的に動作が可能になるが、非対称性や固定の増強などにより、動作困難になってくる患者様もいらっしゃいます
麻痺の治療をしに行ったのに動作訓練ばかりで治療はなく、とても無念だった…。
リハビリテーションに望まれること
- 短絡的ではなく、長期的に使うことができるADL能力
- 対象者と共に生活能力向上を目指し、個人に応じた社会参加を促す
- 麻痺の治療
患者様・ご家族と目標の共有はできていますか?
傾向
回復期の傾向
- Self awareness(気付き)が十分ではない
- 漠然とした不安と焦り
- バリアフリーな環境(病院内)
- 介助力がある(病棟スタッフ)
Self awarenessとは、「自分の感情の状態を正しく把握でき、同時にそれが他人にどのような影響を与えているかを十分認識できること」です。
・ご自身の生活課題を具体的に捉えにくい
・漠然とした回復への希望がある
生活期の傾向
- 生活課題に直面している
- 強い代償で生活課題を行なっている(こなしている)⇨できていたことが段々と難しくなることもある
- それまでの医療・福祉職の関わりが思考に大きく影響する(環境・介入の変化を恐れる)
・動作能力の低下が問題になりやすい
・(何に困っているのかはっきりしないこともある)
患者様・ご家族の“頑張ればなんとかなる”というのは△かもしれません…
活動と参加
定義
ここでの活動と参加は以下の意味で使用しています。
課題や行為の個人による遂行のこと
生活・人生場面への関わりのこと
個人が活動を行うときに生じる難しさのこと
個人が何らかの生活・人生場面に関わるときに経験する難しさのこと
詳しくはこちら(厚生労働省HP)をご参照ください。
活動・参加に向けて
活動と参加に向け、項目を挙げてみました。
●自分のこと
●家庭を維持すること
…掃除、洗濯、買い物、調理、ゴミ捨てなど
…父母、祖父母などの役割
…家計の維持(就業)
●家庭外での役割や生活の幅
…趣味活動
…ご近所さんや友人との交流 など
ADLだけでなくIADLの視点も意識していきましょう!
目標創造に向けて
- 患者様・ご家族との対話の中で、“いま何を思い、考えているのか”を知る
- 在宅生活の実現はベースの課題になりやすい(家屋並びに周辺環境・介護力などの情報収集)
- 課題実現に向けて最低限の構成要素は何かを考える
悪い面・弱みに目がいきやすいかもしれませんが、良い面・強みを探してみましょう!
生活背景、好みからもヒントを得られるかもしれません。
まとめ
冒頭の私たちセラピストが提供するリハビリテーションは身体機能訓練だけなのでしょうか?という問いに対して、私はそれだけではないと考えています。
活動・参加に向けて動作の反復訓練を闇雲に行うのではなく、目標設定した課題の構成要素を評価・共有し、患者様とセラピストが共に努めていく過程が大切です。
(その過程で身体機能訓練を行うことももちろんあります)
対象者(患者様とそのご家族)が生き生きと社会参加をすることができるよう、手助けすることがリハビリテーションなのではないかと思っています。
おわりに
目標設定した課題が“できる”だけでは十分ではなく、安定性と効率性という側面からもみていく必要があります。
安定性という面では、重力下で“倒れず”に作業をしなければならないため、姿勢コントロールをした上で運動コントロールが必要になります。
効率の良い姿勢と運動を行うための視点について、次回書いていこうと思います。