こんにちは。作業療法士Sです。
前回の記事で、住宅改修のチェックポイントの一部を書きました。
今回の記事では、家庭内事故や日本住居の特徴を書いていこうと思います。
目次
家庭内事故
危害のきっかけについて、年齢別に分けると、
65歳以上
- 転倒
- 転落
- その他
- ぶつかる・当たる
- 切る
20歳以上(65歳未満)
- 切る
- その他
- 転落
- 転倒
- ぶつかる・当たる
作業療法士S
転倒とは、転ぶ・つまづく・滑ることを示しています
危害の原因となった物や場所について分けると、
65歳以上
- 階段
- ドア、柱、敷居など
- 浴室
- 脚立、梯子など
- 床
20歳以上(65歳未満)
- 包丁など
- 階段
- 食器
- ドア、柱、敷居など
- 油脂
上記の表のように、年齢別で危害のきっかけ・原因となった物や場所は異なっています。
CHECK
- 国民生活センターに寄せられたデータ集計結果によると、家庭内事故の発生件数は20歳以上65歳未満が9280件、65歳以上が4176件
- 事故全体に占める家庭内事故の割合は、20歳以上65歳未満が46.0%に対し、65歳以上は61.1%
参考:国民生活センターのリポート「危険情報から見た高齢者の家庭内事故」2003/5 公表
新人OTR
65歳以上の方は、家の中で転ぶことが多いのかも…?
日本住居の特徴
日本の気候風土の中で創られた特性
日本の気候風土は、高温多湿で、寒暑の差が激しいという特性があります
POINT
- 深い庇(ひさし):600〜900mm(夏場の強い日光を避ける)
- 高床の住居:道路面+45mm(地面の湿気を防ぐ)
- 大きな開口部(通風と冬場の陽射が奥まで届く)
- 畳の採用と建具作成、間仕切方法(融通性)
建築の基本寸法
伝統の尺貫法を基に、cmに読み直されて使用している
作業療法士S
部屋の広さ、天井高、廊下幅、建具寸法、畳サイズなど…
住宅の随所に採用されています!
尺貫法
- 1寸=30.3mm
- 1尺=303mm=10寸
- 3尺=910mm=半間
- 1間=1820mm=6尺
住まいの主な段差
CHECK
- 玄関の段差:高床のため生じる
- 廊下と部屋、部屋と部屋との段差:異種の床仕上げ材のため生じる
- トイレ・浴室の段差:水処理、天井高のため生じる
- ドア下枠・引戸敷居の段差:気密性、見切りのため生じる
- 縁側・部屋と地面との段差:掃き出し窓、大きな開口と高床のため生じる
- ベッドの段差
- 階段:段差そのもの、階段幅が狭い、踏面が小さい、蹴上が大きい、急勾配・踊り場の形状
- その他:洗濯干し…バルコニーに出る等
転倒を予防するために
原因
- 小さな段差(15〜30mm)
- 見えにくさ
- 装具
- すり足
- ふらつき(大きな段差昇降、体勢変更):階段、跨ぎ段差、車いすからの移乗、歩行補助具を手放す など
- 滑る
対応策
- 段差解消スロープ(段差の3倍以上の長さ)
- 面取りカット
- 床仕上げ材(隣り合う部屋を同一床材、弾力性・緩衝性があるものにする)
- 吊り戸やVレールの採用(敷居をなくす)
- 目視テープ利用やフットライト設置(色のコントラスト)
- 手すりの設置(姿勢を保持するため;構造、設置場所、形状、材質など…)
- マット・敷物は固定(縁のめくれ・浮きに注意)
まとめ
今回は、家庭内事故や日本住居の特徴を書いてみました。
65歳以上の方は家の中での転倒リスクが65歳未満の方よりも高いという点、日本住居の特性上段差が生じやすいという点から、転倒防止・安全の確保が必要になります。
対象者(患者様)とそのご家族の身体的・精神的負担の軽減を図り、快適な住まいにするための提案をしていきましょう。