こんにちは。作業療法士Sです。
先日、
Aさんの家屋調査に行くことになりました、何を見てきたら良いですか…?
と相談を受けました。
事前の準備が不十分であったり、目的が漠然とした状態で行っても、現地で何を見たら良いのかわからなくなってしまいます。
今回は、家屋環境調査を行うにあたってのポイントを書いていこうと思います。
家屋調査の目的
在宅生活を送るにあたり、予想される問題点の抽出と、その解決策を提案するもの
安全に活動できるような環境や動線が保たれているのか
対象者・家族・関係職種と実際に動作しながら、評価・相談していきましょう!
事前準備
- 対象者(患者様)の状態を知る
- 住環境を知る
- 家族状況を知る
対象者(患者様)の状態を知る
- 心身機能:運動麻痺の状態、関節可動域、高次脳機能
- 病棟ADL:病棟での介助量・介助方法、日中だけでなく早朝・夜間のADL動作の確認
- ニーズ:病前の生活状況 ⇨ 退院後の暮らしの希望
服薬状況によって、夜間の病棟ADL動作は日中と異なることが多いので、要確認です!
住環境を知る
- 見取り図や写真、対象者からの聴取での情報収集
家族状況を知る
- 介護力:適切な介護ができるものがいるか、日中・夜間一人でいる時間があるか
- 家族関係:病前の家族との関係性
- 経済状況:サービス利用・施設利用の検討、生活保護
- ニーズ:対象者家族のニーズ
対象者(患者様)とご家族でニーズの差があることもしばしば。各々別日に聞き取りをすることが多いです。
当日の持ち物
- メジャー
- テープ類(養生テープなど剥がしやすいもの)
- 図面(見取り図)
- バインダー、メモ帳、筆記用具
- 福祉用具(たちあっぷ、簡易手すり、シャワー椅子、バスボードなど)
- 福祉用具カタログ
- 名札・名刺
- カメラ
カメラで撮影するときは、必ず撮影に関する同意を得ましょう!
(書面で同意書を書いてもらっています)
福祉用具の例はこちらです↓
当日
- 屋内への出入り(駐車場から玄関)
- 居室(寝室)
- トイレ
- 洗面・浴室
- リビング
- 台所
- 家屋周辺の状況(例:買い出し…近隣スーパー・コンビニ)
1日の生活動線をイメージしながら行いましょう!
実際の活動
- 実際に対象者や家族に動いてもらう、体験してもらう(事前に用意した福祉用具があれば使用してもらう)
- 病院・自宅での介助方法の違いはないか確認
- その場で提示可能な場合は、他職種と情報共有し、具体的な内容説明、記録する
- その場で提示困難な場合は、帰院後再検討して提示する
プランの決定はあくまで対象者(患者様)とご家族がするものです。
プランを進めるときは、必ず同意を得ましょう!
まとめ
今回は、家屋環境調査について書いていきました。
家屋環境調査では、対象者(患者様)とご家族が安全かつ確実に日常生活を行うことができるのか、評価するために行うものです。困難な状況であった場合は、介護保険における住宅改修や福祉用具の導入などのプランを提示していく必要があります。
また、作業療法士だけで評価するのではなく、ケアマネージャーや事業者(建築、福祉用具関係など)など、他職種と連携を取る必要があります。
プランの提示をする際には、他職種の意見を取り入れ、考えうる複数のプランを立てることが望ましいと思われます。
次回は、住宅改修のポイントについて書いていこうと思います。