こんにちは、作業療法士Sです。
皆さんは、お酒を飲んだ翌日に顔がむくんでパンパンになったり、指がむくんで指輪が抜けにくかったり…といった経験はありませんか?
患者様からも、
患者様
足がむくんでしまって…。
これ(弾性ストッキング)を履かないと。
といったお話を聞くことがあります。
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今回は浮腫(むくみ)に対するアプローチについて書いていこうと思います。
目次
はじめに
浮腫(むくみ)とは、組織液またはリンパ液が、何らかの原因で皮下組織に異常に増加・貯留した状態です。
関節運動を妨げて周辺組織との癒着や拘縮を起こしたり、皮膚の抵抗力を弱化させることがあるため、予防と管理が重要になります。
CHECK
- 基礎疾患:心疾患、腎疾患、肝疾患、薬剤性(ステロイド系)…
- 浮腫の状態:熱感、発赤、疼痛、圧窩…
上記の項目を確認し、原因を見極めることが大切です。
治療
治療方法に関しては、主に3種類あります。
治療方法
- ポジショニング
- 筋のポンプ作用の利用
- リンパドレナージ(リンパ液の排液・脈管にアプローチする手技)
必要な知識
リンパがリンパ管を巡る経路を知る必要があります。
CHECK
- 個々のリンパ節が支配している領域がある(頸部、腋窩、肘窩、鼠径、膝窩)
- 皮膚でリンパ管が分布していない部位はない
- 皮下すぐの表層リンパ毛細管から深部リンパ管に流れていく
- 右リンパ本幹は、右側の上半身からのリンパを受け、右側の静脈角へ
- 下半身からのリンパは一旦乳ビ槽に集められる
- 胸管は、両下半身と左上半身からのリンパを受け、左側の静脈角へ
基本手技
大原則:末梢から中枢へ…溜まったリンパ液を徒手的に深部リンパ管に誘導する目的
基本手技
- 軽擦法:リンパ液の流れの導入
- 押節法:リンパ節からリンパ液の排液(リンパ節に余裕がないと新しいリンパ液は入り込めない)
- 皮動法:皮膚をずらすことでリンパ液を移動させる(1秒以上かけてリズミカルに皮膚を動かすだけの微弱な圧で行う)
詳しいリンパドレナージ手順に関しては、日本浮腫療法協会ホームページをご参照ください。
禁忌
リンパドレナージを実施するにあたり、禁忌事項もあるのでご確認ください。
CHECK
- 全身の発熱はないか(蜂窩織炎:皮膚結合組織の細菌感染などではないか)
- 心疾患などで安静を必要とする場合ではないか(循環血流量が増加するため)
- 外傷による炎症部位や瘢痕部位ではないか
- 頸部“押節法”の禁忌:不整脈、甲状腺機能亢進症、ペースメーカー (動脈硬化)
まとめ
今回は浮腫(むくみ)対するアプローチに関して、リンパドレナージに着目して書きました。
他にも、塩分(ナトリウム)には水を溜め込む性質があるためカリウムを摂取してナトリウムの排泄を促進したり、体(特に末梢血管)を温めて血液循環をアップさせるなど様々な方法があるといわれています。
禁忌事項に注意し適切な方法で、だるさやしびれの改善、可動域の拡大、筋出力の増大等を図り、結果としてADL能力の向上へ繋げていきましょう!
おまけ
(私も夕方になると足がむくんで足首に靴下の跡が…となるので、こちらのストッキングを使ったりしています💧)