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作業療法アプローチを考える。

こんにちは。作業療法士Sです。

6月に入ると、作業療法士の免許も届いて、そろそろ新人さんも主担当をもちはじめる時期かと思います。

臨床実習や就職後の臨床見学などを通し、学んできたことは多いと思いますが、

それでも、

新人作業療法士

Aさんの担当になったのですが、どうしたら良いですか…?

と質問を受けることがあります。

そんな時によく話す内容を今回は書いていこうと思います。

目次

作業とは?

そもそも、作業療法の“作業”とはなにか。

私は日本作業療法協会の文言から、食べたり、入浴したり、人の日常生活に関わるすべての諸活動を“作業”だと考えています。

身の回りのこと(セルフケア)だけでなく家事や仕事、余暇・趣味活動、地域活動なども“作業”です。

そして、作業療法(OT)とは、

病気やけがの状態が安定した後、退院後の具体的な生活をイメージして、その人なりの生活の方法を一緒に考えて、必要な機能の改善を図ることや、手段の獲得を支援すること。

これが、作業療法士としての仕事なのではないかと考えています。

障害像を模擬体験する

今回は疾患数として多い脳血管障害、片麻痺を例に考えていきます。

新人作業療法士

片麻痺の患者様は手足の麻痺があって、動くのが大変そう…?

実際にセラピストが患者様の状態を模擬体験することで、どのようなことが大変か、共感・知ることが大切です。

模擬体験:座る

お尻を半分だけ椅子にのせ(半臀部)、足の下(お尻をのせていない方)に風船やビニールボールを入れて座ります。

体験内容
  1. ただ座ってみましょう
  2. 真っ直ぐに座ってみましょう(姿勢を正します)
  3. 座った状態で他者に腕・脚を動されてみましょう
  4. 靴の着脱をやってもらいましょう(全介助で)

風船やビニールボールなどの代わりに、

この様なバランスディスクで代用してみても良いかと思います。

模擬体験:食べる 

今度は、食事体験をしてみましょう。

体験内容
  1. 姿勢と食器の位置:“模擬体験:座る”の姿勢で、食器の位置を身体中央、利き手側(箸やスプーン等を持つ方)、非利き手側それぞれ試してみましょう
  2. 食器の形状:楽な座位で、利き手で平皿や深皿で食べてみましょう
  3. 利き手交換:楽な座位で、非利き手で食べてみましょう
  4. 介助者の位置:楽な座位で、介助者から前上方または横下方から食べさせてもらいましょう

食器・道具の形状に関して、実際に以下のようなものを導入したことがあるので参考までに…。

介護用介護フォーク 福祉 食事 食器 リハビリ 麻痺 握力低下 リウマチ オールステンレスハンドル /N-6 スポーク小 r-hrtcr

アプローチの基礎を学ぶ

模擬体験:座位・食事を通して、

座位
  • 大変さ、怖さはあるか?
  • 倒れないためにどこに力を入れているか?(姿勢制御)
食事
  • 食器の位置はどこが食べやすいか?
  • 食器はどの様な形状だと食べやすいか?
  • 利き手交換、非利き手でどのようにしたら食べやすくなるか?(動作の練習方法は?)
  • 食べさせられる、介助を受ける側は、どの方向から食べさせてもらうと食べやすいか?

など、いろいろな視点が出てきたかと思います。

日常生活動作(ADL動作)を考える要素

日常生活動作(ADL動作)訓練をただ反復して動作を行うだけではなく、自助具を調整・導入するだけではなく、

どの様に動けば楽に動作ができるのか、行為の特性を一緒に考えて、伝えていくことが必要ではないかと思います。

まとめ

今回は、作業療法アプローチの考え方について、脳血管障害の患者様を例に書いていきました。

身体全体の運動障害やバランスの障害が生じる等の知識も必要ですが、模擬体験を通し、患者様はどのような状態になっているのか、なにが大変なのかを知ることが大切です。

その上で、どうすれば楽に座ることができたり、動くことができる身体になるのかを一緒に考えて、提案・伝えていくことが必要です。

今回は脳血管障害、特に片麻痺について考えていきましたが、実際には高次脳機能障害や文化・背景の違いなど様々な因子が出てくると思います。

患者様やご家族と話し合って、目標設定のすり合わせをしていきましょう。

 

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