こんにちは、作業療法士Sです。Aさんの担当をさせていただきます。
よろしくお願いします。
と挨拶をさせていただくと、
作業療法ってなに?なにするの、マッサージ?
と質問を受けることがあります。
そこで、今回は“作業療法って…?”について書いていこうと思います。
定義
2.この法律で「作業療法」とは、身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応力の回復を図るため、手芸、工作、その他の作業を行なわせることをいう。
作業療法とは、身体又は精神に障害のある者、またはそれが予測される者に対し、その主体的な生活の獲得を図るため、諸機能の回復、維持及び開発を促す作業活動を用いて、治療、指導及び援助を行うことをいう。
作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値をもつ生活行為を指す。
法律上の定義と作業療法士が考案した定義の違いは?
作業療法士の対象について
法律上…身心又は精神に障害がある者
作業療法士考案した定義…身心又は精神に障害がある者、またはそれが予測される者
それが予測される者とは、
作業療法士が関わることがなければ寝たきりや閉じ籠り、認知症になってしまう恐れのある人、あるいはその家族、介助者をも含んでいます。
作業療法士は、専門職の基本姿勢として、障がいの予防や健康の維持・改善を必要としている全ての人に対し、作業療法を提供すると掲げていました。
33年ぶりの定義改定、なにが変わったの?
今回の定義改定は33年ぶり、上記の新しい定義には註釈があります。
(註釈)
・作業療法は「人は作業を通して健康や幸福になる」という基本理念と学術的根拠に基づいて行われる。
・作業療法の対象となる人々とは、身体、精神、発達、高齢期の障害や、環境への不適応により、日々の作業に困難が生じている、またはそれが予測される人や集団を指す。
・作業には、日常生活活動、家事、仕事、趣味、遊び、対人交流、休養など、人が営む生活行為と、それを行うのに必要な心身の活動が含まれる。
・作業には、人々ができるようになりたいこと、できる必要があること、できることが期待されていることなど、個別的な目的や価値が含まれる。
・作業に焦点を当てた実践には、心身機能の回復、維持、あるいは低下を予防する手段としての作業の利用と、その作業自体を練習し、できるようにしていくという目的としての作業の利用、およびこれらを達成するための環境への働きかけが含まれる。
註釈によって、作業療法の“作業”とはどういったものか具体的になり、わかりやすくなりました。
また、定義に“医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる”といった一文が加わったことで、医療施設や介護保険施設だけでなく、様々な領域で作業療法士が活躍していくための未来に繋がる一歩となったのではないかと思われます。
作業療法、作業療法士とは?
食べる、着替える、入浴するなど、日常生活の全ての生活行為を「作業」と呼び、子どもから高齢者、障がいのある人など、日常生活に支援が必要な人に「作業」を通して働きかけ、その人が日常生活の身の回りの動作をとどこおりなくできるようにするだけでなく、趣味や生きがい、社会への参加など、その人にとって「意味のある、したい作業」を日々の生活の中で続け、社会とのつながりを「作業」を通じてつくり出していくよう働きがけていくのが作業療法士です。
まとめ
冒頭の「作業療法ってなに?リハビリ?どんなことするの?」の問いに対して、
私は作業療法の説明をする前にまず、患者さんやご家族に困っていることやしたいこと、やらないといけないことに関する質問させていただきます。
「今挙げていただいた事柄が“作業”で、そしてそれをできるようになるためにはどうしたら良いのかを一緒に考えていくのが“作業療法士”です。」と答えています。
(実現可能な事柄かどうか、目標設定のすり合わせも必要ですがそれはまたの機会に…。)
臨床現場で定義を説明することはないかもしれませんが、臨床家たちの考え・想いがあって33年ぶりの定義改定が行われたのだと思われます。これを機に今一度確認してみると良いのではないでしょうか?